平成28年度 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」

潰瘍性大腸炎術後の小腸炎・小腸出血に関するアンケート調査(サイトメガロウィルス腸炎を含む)

神山篤史
鈴木康夫、仲瀬裕志、福島浩平

研究概要紹介

01 | 研究背景・目的

近年、潰瘍性大腸炎(以下UC)に対する手術後に消化管(主に小腸)から大量の持続性出血を来たしたり、術後の残存小腸に炎症が継続したりすることで、治療に難渋したとする報告が散見されます。このような病態に対する単施設での経験症例数は少なく、症例報告においてのみ、その存在を知るに過ぎないのが現状であると言えます。本アンケートの目的は、単施設では経験数の少ないUC術後の小腸炎・小腸出血を集積し、本邦における術後小腸病変の現状を知り、その治療法を確立することにあります。

回腸人工肛門からの内視鏡所見

  • UC術後小腸出血

    UC術後小腸出血
    回腸に地図状の潰瘍形成を伴い、出血を認める。

  • UC術後小腸炎

    UC術後小腸炎
    回腸の血管透過性は消失し、表面に膿苔の付着を認める。

02 | 対象

  1. UC術後の小腸からの出血・小腸炎に対して、輸血、緊急手術、抗ウィルス剤、ステロイド投与および何らかの積極的な治療が講じられた病態
  2. 球部を除く十二指腸、空腸または回腸での出血、小腸炎が確認されている、もしくは下血(ストーマからの排出も含む)があるが胃、十二指腸球部からの出血は否定されている。
  3. 小腸において潰瘍を伴い、穿孔をおこしたもの。
  4. 小腸が広汎に炎症を伴い、著しいタンパクの漏出と吸収能の低下(著しいとは何らかの積極的な治療が講じられた病態)をきたしたもの。
  5. 手術手技に伴う合併症(パウチ縫合部からの出血、ストーマ閉鎖部縫合線からの出血)によるものが否定されている。
  6. 病変が回腸嚢のみに限局する場合、サイトメガロウィルスなどの特異的感染症などは想定されるが、回腸嚢炎診断基準にあてはまらない。

03 | 除外基準

  1. 胃もしくは十二指腸球部に限局した潰瘍である。
  2. 回腸嚢に炎症が限局し、回腸嚢炎診断基準に合致する症例。
  3. 手術や積極的な治療を行わずに、大量輸液のみで時間とともに軽快した症例。

04 | 方法

難治性炎症性腸障害に関する研究班に参加する各施設に対して、アンケートを送付して回答していただく後向き研究

05 | 対象期間

2001年1月から2014年8月まで

06 | 主な評価項目

発生頻度、患者背景、発症時症状、診断方法、治療方法、予後 について検討する

07 | 今回御協力いただいた施設

大腸肛門病センター 高野会 くるめ病院、愛知医科大学病院、旭川医科大学、浦添総合病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、横浜市立市民病院、岡山大学病院、関西医科大学附属枚方病院、関西医科大学附属滝井病院、岩手医科大学、宮崎大学 第一内科、第一外科、京都大学医学部付属病院、京都府立医科大学、金沢大学 消化器内科・胃腸外科、慶應義塾大学医学部消化器内科、広島大学病院消化器外科、弘前大学医学部附属病院、札幌厚生病院、三重大学 消化管・小児外科学、四日市羽津医療センター、東邦大学医療センター佐倉病院、東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科、滋賀医科大学 消化器内科、東京女子医科大学病院第二外科、新潟大学 消化器外科、大阪市立大学、大阪大学消化器外科、大阪労災病院外科、島根大学内科学講座第二、東京医科歯科大学、東京大学 大腸・肛門外科、東北大学 胃腸外科、東北労災病院、奈良県立医科大学 消化器・総合外科、浜松南病院、浜松医科大学第一内科、福岡大学筑紫病院、兵庫医科大学 炎症性腸疾患講座 外科、防衛医科大学校、琉球大学医学部附属病院、国立病院機構 弘前病院

計41施設(順不同)※御協力ありがとうございました

08 | アンケート結果(現在解析中)

発生頻度

  • 42例 / 5284手術(0.8%)

    ※41施設中22施設(54%)で経験あり

主症状

出血 25例(59%)
出血+stoma排液過剰 6例(14%)
出血+穿孔 2例(5%)
stoma排液過剰 4例(10%)
食思不振、吐き気など 5例(12%)

転帰

治癒または軽快 33例(78%)
現在加療中 4例(10%)
死亡 5例(12%)

※詳細に関しては現在解析中です

インフォメーション

  • 2015.02.20チーム情報を公開しました